明るく楽しい乳がん患者のすすめ
風間沙織さん54歳 神奈川県在住 会社員企業検診でマンモグラフィーを毎年受けていたが、49歳の時、自己触診で異常を発見。乳腺クリニックを受診し乳がんと診断される。現在も治療を続けながらフルタイムで勤務。
風間さんのインタビュー記事(読売新聞 2019.11.27)はこちら
がん患者に対する一般的なイメージはネガティブなものが少なくありません。今回は乳がんであることさえ楽しみ、体験すらも笑いに変えてしまう、そんな患者さんのインタビューをご紹介します。早期発見の見本のような話ですので、こちらを読むと「がん患者」、「がんという病気」に対するイメージが変わるかもしれません。
INDEX
- 母も妹もみんな乳がん!?
- デンスブレスト あなたは自分の乳腺タイプを知っていますか?
- 精密検査から確定診断へ
- そして治療へ 私たちの日常に溢れるがんのネガティブ情報
- どこかが痛いとか血が出ているなら、病院に行くけれど
- 乳がんだった! いつ、どこで、誰に話をする?
- 「がんと仕事」どうやって両立しますか?
- 医師、医療従事者、副作用との付き合い方
- がんとメンタル そしてキャンサーギフト
- 同じ女性としてここまで読んでくださった皆様へ
インタビュー会場に現れた瞬間に、パッと空気が明るくなった。簡単な挨拶と雑談だけで、旧知の仲のような気にさせてくれる、風間さんはそんな人だった。女性にとって乳がんはやはりデリケートな問題。しかも命に係わる病気でもあることから、体験をうかがうことは、当時の辛かったこともお話いただくことになる。こんな風に思っていたので、実際にお目にかかって驚いた。とにかく前向き、そして冷静。乳がんになったことすら楽しみ、体験をコロコロと笑いながら話してくださる。風間さんはまさに「目からウロコ」な患者さんだった。同時にインタビューを通して現在の乳がん検診、がん報道の在り方などの問題も見えてきた。
母も妹もみんな乳がん!?
リガーレヘルスケア(以下LH)乳がんに気付いたきっかけについて教えてください。ご自分でわかったのですか?
風間そうですね。結果としては自分で気がつきました。
LH結果として?それは触診で?
風間まず、私は毎年マンモグラフィーを受けていたんです。だいたい毎年9月か10月くらいに会社の健康診断があって、マンモグラフィーか超音波のどちらかを無料で毎年受けられるんですね。それでマンモグラフィーを30代後半から毎年受けていました。
2013年の9月の終わりに受けたのですが私はその時も異常なしだった。ところが2014年の2月、(自分が検診を受けた)5ヶ月後に妹から「私、乳がんなの」って連絡があって…。その時、私はマンモを撮っていて「異常なし」って結果がでているからしこりなんかあるわけがないと思いながらもなんとなくお風呂で触ってみた。
お風呂で触ってもなんでもなくって「ほらないわよね」って。マンモで異常がないんだからあるわけがない、と。それでお風呂から上がって、冬なのでボディクリームを塗っていた。その時、胸をぐりっとやったらコツンと当たったんですよ。
LHえっ?
風間妹が乳がんになってなければそんなこと(触診)していないし、わからなかった。
LH自己触診、なかなかしないですよね。
風間実はうちの母も乳がんなんです。
LHじゃあ家系的に?
風間どうなのかな…分からないです。家族性なのかもしれないですけれども、調べてはいないです。私、おひとりさまで子供がいるわけではないですし、甥っ子しかいないので、遺伝学的検査は受けていないんです。 母は右のここだったので。(右胸の脇の下の近くを指して)ここってよくできるじゃないですか?リンパの近くって。なんとなくここにできると思って、ここはなんとなく触っていた。でも、私の場合はこの下、乳頭の下のところだったのでよく触りもせず、わからなかった。
LH(触診のように胸を触って)たまたまこういう感じで?
風間コツンと。
LHよくわかりましたね。
風間母がしこりを触らせてくれたんですよ。自分に乳がんが見つかった時に。
「こんなのなんだよ」と言って触らせてもらっていたので、結構昔のことですけれども、なんとなく感触は覚えていた。
それで、私は(乳がんが)左ですけれども、右にはないしこりが左にはあるので、これは間違いないと思いました。
LHそう思ってすぐ病院に行ったのですか?
風間私はとってもせっかちで(笑)。夜だったのですが、次の日から出張が入っていてどうしようと思ったのですが、とりあえず予約だけしようということで、ネットで予約ができる病院、乳腺クリニックをまず探したのですが、たまたま、あるクリニックで翌週1枠だけ空きがあって。
LH乳腺クリニックって混んでいますよね?
風間ものすごく混んでいます。でも、そこですぐに予約を入れて。出張に行って帰ってきて検査をしてもらったっていう。
LH検診は受けていても写っていなかったということですね。
風間そうです。見つけた時は1.5センチだったので9月、つまり、検診を受けた5ヶ月前にゼロってわけがないじゃないですか。私、自分のマンモグラフィーの画像を実は持っていて、見たらこれで分かるわけがないよな、って。
LHそれは風間さんご自身がデンスブレスト(高濃度乳房)だったということですか?
風間はい。
LH自分の乳房のタイプを自身でも知っていないと、どの検査が向いているか分からないということですね。毎年マンモグラフィーを受けていてもデンスブレストだと分からない、風間さんのような例があると。
風間そうなんです。デンスブレストの場合、検査のもう一つの選択肢として超音波を交互受診という選択肢もある、と知らない場合が多いですよね。マンモグラフィーはあんなに痛い思いをしておっぱいを潰して写すので、どんなものでも写るって思っていました(笑)。
また、検診センターであれば自分のマンモの画像を見せてもらうことが少ない。
LHそうですね。
風間紙で結果がくるだけじゃないですか。A判定とくるだけで自分の乳腺タイプが、どんな状態なのか分からない。